カニキュラム

映画やゲームの紹介。開発の記録も。

「スターウォーズ:帝国の影リメイク」 -進捗発表編 -

 

こんにちは。カニ夫です。

今回の記事では制作途中のステージ紹介とゲーム画面をチラ見せしていきます。

企画の説明や現在のチームの状況は「説明編」で書かせてもらったので、まずは制作途中のステージを順を追って紹介していきます。

 

 

ホワイトモデル制作

 

企画や仕様を纏め終えたころ、ステージのラフモデル(ホワイトモデル)をカニ夫担当で作っていきました。

これは、ゲームデザイナー側がボックスやシリンダーといった簡単なオブジェクトを使ってプリミティブベースで構成したマップを作成し、ゲームデザインを確認するために用いる物です。

また、これを基に3Dアーティストがポリッシュ(作り込み)していくので、縮尺などは忠実に作る必要があります。

 

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試しに簡易的な水を張ってみたり

 

ホワイトモデル制作で重要なのは、ゲーム部分をこの段階で確実に完成させる事です。

上述した通り、ホワイトモデルは制作に携わる人たちがゲームデザインを確認するための物なので、ゲーム部分を構成する要素は全て組み込まなければなりません。

つまり、ホワイトモデルとはゲーム部分の完成形でなくてはならない

人間で言うならば骨格と内蔵の形成に当たります。

 

もちろんプロジェクトによっては一概にこれに当て嵌まるワケではないのですが、大抵は「あとは背景やキャラクターを綺麗に作り込むだけ!」という所まで作り込まないといけません。

とはいえ、実はこのホワイトモデルはまだ未完成で、「ゲーム部分」が完成しきっていないです。

というのも、今回のプロジェクトでは人数が2人しかいない事もあり、ある程度の作業を並行して行う事にしました。

 ホワイトモデルのマップ部分が完成した段階で、CG担当の首藤さんに渡して、トンマナ(世界観におけるデザインや雰囲気の一貫性)を合わせるためにステージ序盤にある通路をポリッシュして貰う事に。

 

 

ステージのポリッシュ(作り込み)作業

 

先ほどのホワイトモデルを首藤さん(@kubinoji)がポリッシュした物がこちらになります。

 

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パリにある石造りの地下水道を参考に壁面を作り込み、スターウォーズのインダストリアルデザインを組み込みました。

 

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参考にしたリファレンスたち

 

ここのトンマナ合わせは、「ゲームの雰囲気」や「スターウォーズらしさ」という認識を合わせていく最初の工程であり、ここで作った物をベースに他の場所を作り込んでいくので重要な場面となります。

 

まず課題として出てきたのは、当時のNintendo64で作られたオリジナル版のデフォルメ感を実際の建築物や映画のプロップを参考にしつつ修正していく事でした。

当時のデフォルメ化されたモデルをそのままリアルに仕上げても、現実のスケール感とのギャップで不自然な仕上がりになってしまうからです。

それにあたって、我々は舞台となる惑星「コルサント」の歴史から生態系、住んでいる種族やインダストリアルデザインまで総ざらいで調査を続けました。

そこから本マップで使える要素をいくつかピックアップし、映画で実際に用いられていたインダストリアルデザインを元に、基礎部分をこのように解釈しました。

 

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これはまだ仮置きなので、実際には敵の射撃を遮る障害物としても機能するように調整する予定です。

 

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また、パイプを作ることでプレイヤーが薄暗いマップを進んでいくにあたってのガイドの役割を果たします。オリジナルのデフォルメ化されたマップではプレイヤーが迷う事は無かったのですが、環境をリアルに描写した途端にマップ全体のディテールは細かい物となり、プレイヤーがどっちへ行けばいいのかわからなくなるのを防ぐためです。

このように、リメイクは「単なる置き換え」ではなく、どんな細かい物に対しても「再解釈と再定義」を繰り返し、必要とあらば外見を新しい物として作り替えていく必要があります。

 

最終的にUIを置くとこんなゲーム画面イメージになります(UIは仮です)

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ゲームの仕様部分に関して

 

ゲーム部分に関しても、オリジナル版の再現を前提としますが完全に再現するつもりはありません。
本作は20年以上前のゲームです。
企画説明編の記事で紹介した通り、全体的に秀逸なゲームデザインではあったものの、その操作感の全てが完璧だったというワケではありません。

当時のゲームを今の端末で再現するとなると、その全てを正確に模写することが同じ体験をプレイヤーに与える事に繋がるとは限らないのです。
当時を彷彿とさせるノスタルジックな要素は残しつつも、操作感においてストレスにしかなり得ない理不尽な仕様はオミットする事を基本方針として制作しています。

 

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例えば、ジャンプした時のふわっとした感じはある程度残したいと考えています。

あの独特のアクションに悪い印象を持っていたプレイヤーも多いかもしれませんが、あのふわっと感により空中にいるドロイドに対しての空中射撃や遠い足場への幅跳びが可能となっており、この操作感は少なくとも本作のゲーム体験部分に対して大きく影響しています。
流石に当時のままの数値で再現するつもりは無いですが、「進める上で克服できない程の理不尽なストレスを与えない操作感」と「コツを掴むと効率化される操作感」を上手く内包した操作感にするつもりです。

簡単に言うと「まぁ、ほどほどに調整するよ!」。


そして、ジェットパック周りの仕様は大きく変える予定です。
オリジナル版における水中でのジェットパックのエネルギー減少はプレイヤーに意味のない焦燥感しか与えない仕様なので撤廃したいし、慣性の制御はもう少し細かい動きができるように調整します。

これがもし違うステージのリメイクだったら直さなかったかもしれないですが、地下水道という狭くてシビアな操作が求められるステージなので今回のプロジェクトにおいてこの辺は大きく改善する必要があります。


そして戦闘面では主に照準周りを見直していきます。
オリジナル版では、ブラスターは向いた方向に対してある程度オート照準で攻撃が可能でしたが、リメイク版ではオートエイム機能を組み込んでしまうとゲームのやりごたえが損なわれてしまいます。
ここでは、昨今のTPSに習って以下の仕様を組み込むつもりです。


・3人称と1人称の2モードでのプレイが出来るように(オリジナル版でもあったが、もう少し操作しやすくする)

・絞り撃ちの仕様を組み込むことで正確な射撃が可能になる

 

これらとは別にコーナーカバー(アンチャーテッドみたいに物陰に隠れるやつ)の仕様を入れたいが、現在の工数的にも優先度は低いのでオミットする可能性が高い。実現したら褒めてほしい。

 

 

今回の発表はこんな感じで。

 次回は上記仕様面のブループリントの紹介になる予定です。

果たして1年でどこまで作り込むことができるのか・・・。

 

次回をお楽しみに~

 

「スターウォーズ:帝国の影リメイク」 - 企画説明編 -

 

こんにちは、カニ夫です。

 

だいぶ前からチラチラとツイートしていた『スターウォーズ:帝国の影リメイク』という企画がようやく形になってきたので、ひとまず企画から紹介しようと思います。

今回は主に、「そもそも"帝国"の影って何?」って所から順を追って簡単に説明していきますので、元ネタの解説と企画説明の記事になります。

作った中身だけを見たい!という方は「進捗発表編」の記事を見て貰えればと思います。

 

「帝国の影」とは

概要

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スターウォーズのゲームの歴史は長く、遡るとその歴史は遥か昔のATARIから始まります。

当時映画や特別篇と並行してリリースされていたSWのゲームはどれも、それぞれのハードウェアの特徴を活かしつつ映画の登場人物を使って世界観をを極力再現しようとしたものでした。


そんな凝り固まった風潮を打ち破ったのが、Nintendo64用ソフトスターウォーズ:帝国の影」です。
本作は、『SHADOWS OF THE EMPIRE』と呼ばれる小説やコミックスを用いて映画では描かれなかった”隙間のストーリー”を描くメディアミックス計画の一環としてゲーム媒体で発売された初のスピンオフ作品であり、ゲームのストーリーも然る事ながらその秀逸なゲームデザインで人気を呼び、多くのファンの心を掴みました。

 

本作の主人公はダッシュ・レンダーと呼ばれる密輸船の船長。

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ダッシュ・レンダー


ダッシュが、映画でお馴染みのキャラクターたちが抱えている事件に介入していく事でゲームの物語は進行していきます。

舞台は映画「帝国の逆襲」ジェダイの帰還」の間にあたる1年間の物語で、ルークの成長やダースヴェイダーの心境の変化だったり、何故ボバフェットは凍結したハンソロをすぐジャバの元へと連れて行かなかったのかだったりなど、映画では描かれなかった側面からストーリーが描かれます。

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本作が今なおファンやゲーマーから強い支持を受けているのには、「世界観の拡張と再現」に徹底して重きを置かれたそのゲームデザインにあります。 
本作は基本的にスターウォーズの世界をベースに様々な惑星を冒険するTPSですが、ステージの1つ1つによってゲームモードやステージのムードがガラッと変わるのも魅力の1つです。

 

時に銀河のゴミ捨て場を探検し暗殺ドロイドと戦ったり・・・

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大都会の地下水道を冒険したり・・・

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砂漠の惑星でレースをしたり・・・f:id:kanikanio1:20170429201300j:plain

 

 

氷の惑星でウォーカーと戦ったり・・・

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宇宙で帝国軍と壮大な戦闘を繰り広げたり・・・

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信じられるかよ!!!

これ20年前のゲームだぜ!?

 

いや、Nintendo64には「名作」と呼ばれる作品は数多く存在しているが、この作品は「プレーヤーが体験できる世界観のボリューム」という面ではマジで頭一つ抜きん出ていた。


ジャンルの違うステージの1つ1つに対し、明確に異なる「ゲームとしての楽しさ」のテーマが敷かれており、「冒険」と「ロマン」に溢れたスペースオペラ作品として最高にワクワクするゲームデザインで設計されている。
そして、映画の「スターウォーズ」に準じたインダストリアルデザインやSEが徹底して用いられており、全編フルオーケストラ収録のBGMと相まって、プレイすれば誰もが「あ!スターウォーズの世界だ!!!」と認識しながら広大な銀河(スターウォーズの世界)を旅しているワクワク感をガッツリと堪能することが出来るのです。

 

今回の企画について

立案まで

スターウォーズファンの誰もが口を揃えて絶賛するスピンオフ作品「帝国の影」。
3DCGにおける表現技術の向上とともに、リメイクを望む声は決して少なくありませんでした。

かくいう僕もその1人で、「スターウォーズの人気は一向に衰えないし、これだけ盛り上がってるならいつか制作されるだろう」くらいの期待で待ち望んでいました。


しかし2012年、ウォルトディズニーカンパニーがルーカスフィルムを買収したことでルーカスアーツはディズニーの傘下になってしまい、ディズニーがルーカスアーツの閉鎖を発表。働いていたスタッフ200名の殆どを解雇したことでスタジオもクリエイターも失ってしまい「帝国の影」のリメイク制作はもはや夢物語となってしまいました・・・。

 


そして時は流れて2015年、EA開発でファン待望の新作「バトルフロント」が発売されました。

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©2015 Lucasfilm Ltd. All rights reserved. ©EA. All rights reserved.


前作のリリースから10年の時が経過しており、ハイエンドモデルのスターウォーズゲームという事もありファンからの期待も大きかったのを覚えています。
実際に、美麗なグラフィックや劇中で使われた本物のプロップを元に作成された3Dモデルなどの出来は素晴らしく、発売当初は多くのファンが心躍らせながらプレイしていました。


しかし、蓋を開けるとゲームモードが圧倒的少なく、無駄に多く収集難易度の高いアチーブメントがプレイヤーのフラストレーションを溜めるに溜め、プレイヤーに不親切なレベルデザイン設計、スターカードシステムの洗練されてない残念な仕様など、とても良くできたゲームとは言い難い仕上がりだったのです。

正直、もっと具体的に批判したらこんなものじゃないぞ!

 

昔のスターウォーズのゲームは、どれも理不尽なまでに高難易度で、しかし「ストレス」と「達成感」のバランスが絶妙に設定されているため、プレイヤーに何度でもまたプレイしたいと思わせてくれる綿密に計算されたゲームデザインの作品が沢山あった。


外見だけの中身のないゲーム。まさに昨今における「クソゲー」と呼ばれがちなフォーマットの典型的な代表例をスターウォーズという愛すべきIPで作り上げられてしまった光景を見て思ったのです。

 

「あの頃のスターウォーズゲームは、もう公式で作る事は出来ないのではないか・・・?」

 

 

ならば、話は簡単だ。


公式で作らないなら自分たちで作るのだ。

 

 

 

二次創作をするにあたって

 

まず、スターウォーズIPのゲームをリメイクするにあたって「本作はあくまでも個人の制作実績を増やす事と自身の持つスキルの向上を目的とした企画であり、販売・配布目的とした物ではないという前提から固めました。

ライセンスの問題があるので、当然ながら販売は出来ないし、あくまでもただ作るだけ。

今後どれだけ企画が進んだとしても商用の配信・配布は無し。俗にいう「個人が楽しむために個人が作る物」であり、これだけは揺るがない方針。
とにかく、現段階の目標としては1年を見積もってゲームとしての形をある程度完成させ、その後の展開は成果物のクオリティと周りの反応次第としています。

 

 

 

チームの結成と企画立案

2016年6月、Twitterで何気ない募集をかける。
すると、大学時代の先輩から3DCGの制作を協力して頂けるとの声がかかった。

 

twitter.com

 

彼とは以前からインディーズゲームの開発をしようという話をしていたので、本作はそれに取り掛かる前段階のデモ作品として制作することに。

お互いゲーム業界に身を置く人間なので、そこでお互い培った能力を発揮する場として、とりあえず2017年末を目標にデモ制作の意味を込めてやってみようという話になりました。

しかし、チームを組んだとはいえ現段階で人数は2人であるため、1つのゲームを決められた期間内で作るのにも限界があります。

「1つのステージのみを作成」という前提で企画を練ってロードマップを敷きましたが、やはり2人で1年以内に全てを作り込むのはどうスケジュールを引いても実現不可能なのです。

完成させるには、クオリティを落とすか期間を延ばすかの2択しかありません。

なので、この帝国の影リメイク企画を次のように進める様に取り決めをしました。

 

・2017年度末をもって本企画は一時凍結。本来の目的であるオリジナルのゲーム開発に着手する。

・ゲームの仕様面は全実装させる。(進捗発表編参照)

・マップは現段階で定めたエリアまで作り込む。

・チームの人数は来年度から増える予定なので、周囲の反応やチームに集まった人数次第ではオリジナルの開発に区切りがついてから本企画を再始動させるかも

・もちろん未完のまま終わらせるつもりはない(現段階では我々の優先度的に後回しにせざるを得ない状況

期待して下さっている方には申し訳ないですが、本企画はクオリティに妥協して適当な仕上がりで終わらせるつもりは無いので、かなり長い期間を見積もって進めていくつもりです。

大丈夫、どうせ今のEAは作らないから。

どうか、ほどほどの期待感で末永く見守って頂けると幸いです。 

 

ステージについて


作成するステージはオリジナル版の8ステージ目に位置する「インペリアルシティーの下水道」です。

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敵の本拠地に位置する下水道を冒険する1本道のステージであり、独特の恐怖感溢れる雰囲気をアンリアルエンジン4上で上手く表現するのが目標。

数あるステージの中でなぜこのステージなのかというと、
本ステージは、ずっしりとしたムードのビジュアル、ほどよい敵キャラクターの種類、水やフォグの表現など、習作としては程よくチュートリアル要素の詰まったステージだからです。
言い換えると、宇宙船や複雑な構造の帝国軍基地などのモデリングも必要なく、人手や工数を踏まえた上でロードマップを引いた時に1番オリジナルに寄せてリメイクの実現が可能なステージだったのです。


そしてなにより・・・

 

本ステージのボス、巨大ダイアノーガを作りたかったからだ!!!(超重要)

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<巨大ダイアノーガとは>
ステージの最後に出てくる巨大なイカのようなクリーチャー。
プレイヤーは下水で満たされた巨大な水槽の中に投げ込まれ、超巨大なダイアノーガと対峙する。
ステージの陰鬱な雰囲気と相まって、濁った水の中で姿を表すそいつに多くのプレイヤーは心にトラウマを植えつけた。



この巨大クリーチャーと対峙するステージをハイエンドな3Dモデルで再現したかったのです。

自分でハードルを上げてしまった気がしないでも無いが、「こういう物を作りたいというビジョン」を設定するのは大切です。

きっと、年内にこいつまで着手するのはほぼ不可能でしょう。

しかし、いつかきっと完成させる算段を隙あらば打っていきたいと考えているので、来年から始めるオリジナル開発から始まる数年間のロードマップは本企画をちょいちょい意識してスケジュールを引いて行こうと思います。

 

とにかく今は、2人で出来る部分を全力で着手するって感じで。やれるところまでやろう。

 

 もう一つの記事「進捗発表編」では、作製した背景の一部を公開しているので、是非ご覧ください。(長かったので記事を分けました)

 

次回をお楽しみに~

 

 

『クレヨンしんちゃん:嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』は、何故オトナたちの心を掴んだのか。

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©臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日ADK 2001

 

※本記事はネタバレを含んでいます。

 

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